ボブちゃんが来た!
彼は4トントラックのゲートで降りてきました。
暗がりでよく見えないけど、間違いなくボブちゃんです。記憶の中のシルエットが現実として目の前に蘇りました。
宝塚から長旅ご苦労様です。
会いたかったわ〜
待ち焦がれたわ〜
急いで身支度して、着いたばかりのボブちゃんに起きてもらいます。
一発セル始動した4気筒のアイドリングは寒さで不安定。
ちょぴっとチョークを引いて元気になってもらいます。
カーボンサイレンサーの音は初耳ですが、それは声変わりと納得します。
ちょっと声が大きいけど、乾いた響きは悪くないし、イマドキの規則正しい綺麗なインジェクションには無い、安定性の無い振動がちょっと可愛いの。
新調したヘルメットをかぶり、ゴアテックスのウインターグローブをはめます。
乗せて!
と彼に声をかけて跨ります。
両脚が地面に…?
あれ?
踵まで着くね。
脚伸びた?
伸びねーよ。
扁平率の違うタイヤの影響ね。
ドキドキした気持ちが安心感に変わります。
懐かしい。
いきなり馴染んだわ。
さあ、どこへ行こうか。
どこでもいい。
懐かしさと、相変わらずの荒々しさと、
美しいシルエットに暫し酔います。
酔いました。
痺れました。
濡れました。
初めて会った16年前の緊張感とはちょっと違った気恥ずかしさに包まれて、交通量が少なくなった都心の道で、再会したばかりの彼とデートを楽しみました。
大切にするわ。
仲良くしてね。
ボブちゃん大好きよ。
お帰りなさい!